psi 力ある者 愛の行方
「あっ、待って。一緒に帰ろうよ」
引き止める泉の手が、私の鞄をガシッと掴む。
行き成り摑まれた事に身体が後ろに引っ張られ、私は少しバランスを崩した。
「ちょっとっ!」
危なく転びそうになるのを何とか堪えて、泉を振り返る。
「今すぐ着替えてくっから、玄関で待ってて。絶対、先に帰んなよっ」
命令口調で勝手なことを言い、釘を刺すようにビシッと人差し指を突きつける。
それから、ニッと白い歯を見せ私に背を向けた。
その時だった――――
信じられないものが、私の目に飛び込んできたのは。
うそ……!
目が大きく見開き、心臓が動悸のようにバクバクいい始める。
そんなはず……。
――――目の錯覚……?
違う。
錯覚なんかじゃない。
それは、はっきりとそこにあった。
そう私のこの目にはっきりとそれが映っていた――――。