psi 力ある者 愛の行方
探りあい?
―――― 探りあい? ――――
私たちは、無言のまま歩を進めていた。
相変わらず空は快晴で、吹く風も心地いい。
もう、あと一ヶ月もすれば梅雨のジットリとした空気が纏わりつくなどと想像もできないほどだ。
学校から家に帰るのとは逆方向の駅前へと二人で向かっていた。
繁華街の中を歩き、以前、一度断ったファーストフード店を目指す。
店に着くまでの間、会話は一切なかった。
きっと、私の険しい表情が、泉のおしゃべりな口を黙らせているんだろう。
一歩踏み込めば賑わう店内。
個々に注文を済ませたあとは、トレーを手に一番奥の席を陣取った。
私の目の前には、アイスのウーロン茶。
泉の前には、ハンバーガーにポテト、コーラのセット。
いつもの泉なら、さわやかな笑顔に白い歯を見せ。
熱々のポテトをパクパクと頬張り、それをコーラで流し込みつつペラペラと何事かおしゃべりしていることだろう。
けれど、いつもとは違う。
いや、いつも以上に険しい顔の私を前に、泉の元気が削がれている。
殺気さえ感じさせるほどの表情を浮かべ、私はジッとテーブルの上のカップを睨んでいた。
廊下で泉に声を掛けられ、玄関で待つように言われた時。
私に背を向けた途端、目に飛び込んできたもの。
それは、泉の肩の裏といえばいいのだろうか。
その辺りにクッキリと存在していた。
赤く三日月形をした、私と同じものが。