psi 力ある者 愛の行方
玄関のドアを開ければ、外は快晴。
家から歩いて十五分の学校までの道のりを、私は毎朝一人で歩いていく。
花びらがほとんど散ってしまった、桜並木のこの道を一人で行くんだ。
学校が近づくにつれ、制服を纏った学生が増えていった。
その群れに紛れて校門をくぐると、体育の杉崎が朝から元気にすれ違う生徒たちへ声を掛けているのが見えた。
「おはようっ」
「おはようございます」
自分にかけられた声にも、なんら変わらず、他の子たちに紛れ、なるべく普通に挨拶を返した。
「おはよう。惣領」
杉崎は、ニコニコと少し媚びるようにも見える笑顔を私に向けると、それからまた他の生徒たちへと同じように挨拶をしている。
それを背に玄関へ行き、上履きに履き替えた。
二年になりクラス替えのため、一年の時とは違う顔ぶれになっていた。
周囲はそれに僅かな戸惑いを見せているけれど、私には特に何の問題もないこと。
浅く狭くの交友関係が私の日常だから。
教室へと入れば、中は相変わらずガヤガヤとしていて、SHRが始まるまでの短い時間をそれぞれが楽しんでいる。
昨日のテレビの話や好きなアイドルの話。
ダイエットの話に恋の話。
耳につくのは、ほとんどが女子の声。
キーが高い分やけに耳に入ってくる。
男子は、教室の後ろや窓際に集まり、サッカーの話やゲームの話に夢中だ。
そんなクラスメイトを尻目に、私は自分の席へと向かう。
それは、窓際の一番後ろ。
そこへ行くと。