psi 力ある者 愛の行方
告白
―――― 告白 ――――
店を出て、私は数メートル先を行く。
「惣領っ。待てって!」
待てと言われて待てるほど、心穏やかではない。
何度も深呼吸を繰り返してはいるものの、心はムカムカとした感情を抱えたままだった。
スタスタと早歩きで去る私を、泉が追ってくる。
傍へ駆け寄ってくると学校の廊下でした時と同じように、私の鞄をガシッと掴み引き止めた。
「待てって」
「放してよっ」
私は、鞄を掴んだままの泉をキッと睨みつける。
いくら泉の肩にあった痣が気になったとはいえ、少し近づきすぎた。
元々、人懐っこく人の回りをチョロチョロする奴なのに、こんなところへ来て二人で話なんてするべきじゃなかったんだ。
学校に居る間に、さり気なく聞けばよかっただけのに、焦りすぎてそんな考えさえも思いつかなかった自分に後悔し、軽率な行動にうなだれてしまう。
「そんなに俺のことが嫌いなのかよっ」
泉の口調は怒っているようだけど、瞳には悲しさが滲んでいた。
別に嫌っているわけじゃない。
深く関わりたくないだけ。
泉は悲しみを浮かべた瞳のまま、真っ直ぐ私を見つめている。