psi 力ある者 愛の行方 


「俺のことが気になったから、今日ここまで一緒に来たんだろ?」
「――――それはっ――――…」

―――― 同じ力ある者かと思ったから……。

最後の台詞は、口に出来ず言葉につまり黙り込む。

視線と視線がぶつかり合ったまま、数秒の時間が過ぎていった。

「俺、遊び半分で惣領に近づいてるわけじゃないんだけど」

いつものふざけた調子の顔じゃなく、泉はいつになく真剣な表情をしてみせる。
そんな泉を見たことがない私は、どう対処していいのか判らずに、突き放すような態度しか取れなかった。

「意味わかんないっ」

私の言葉に、鞄を掴んでいた泉の手が力なくダラリとたれ下がる。
そうして、その手を自分の額へもって行き、はぁー……と深い溜息をついた。
まるで、言語の通じない相手に説明するのを諦めたかのような深い溜息だった。

「なによ……」

疲れたような、呆れたような、とにかく可哀相な感じにも取れる溜息をつかれて、さっきまでの怒りが萎えていく。
萎えてしまった気力のまま、泉を見ていたら。

「惣領って、相当な鈍感女だな」

グサリと来る一言を投げつけられた。
その途端、萎えていたはずの感情がまた怒りに変わる。
ブチッと音でも聞こえるかのようにこめかみが反応した。

はいっ?
鈍感?!
何言ってるわけ?
人の心を読む力を持ってる私が、鈍感なわけないでしょっ!

心の中とはいえ、かなり理不尽な考えだ。

力を使わなければ一般人と同じなのだから、鈍感と言われても仕方ないのに、怒りで冷静な判断が出来ていない今。
私の頭の中は、なんて失礼な奴!

とこうなっているわけで……。


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