psi 力ある者 愛の行方
眉間に思い切りシワを寄せ、私は物凄い形相で泉を睨みつける。
すると、そんな事にはもう慣れた。と言わんばかりに落ち着いた声で、いつものように大きな手が私の顔へと伸びてきた。
「だからー。その顔ダメだって」
伸びてきた泉の手を払い除けようと、私は右手を上げた。
しかし、払い除けるどころか上げた手は、泉のゴツゴツした右手によってしっかりと握られてしまっている。
ギュッと掴まれた手首。
摑まれた事に驚き、放してと力を入れたけど男の力に敵うはずもなく、握られた圧が強くなるだけだった。
痛いよ……。
痛みに顔を歪め、泉を見た。
「なんか、スゲー気になんのっ。毎日毎日、惣領の事ばっか気になんの。しまいには、夢の中にまで出てきてくれちゃって。俺の心臓崩壊寸前て感じっ」
半ば怒ったようにそんな台詞の後には、少しの苦笑い。
それと共に少しだけ握る力もゆるくなった。
気になるって……。
夢の中って……。
崩壊寸前て……?
「何……言って――――…」
「――――好きだって言ってんの、惣領の事が」
私の言葉を遮るように言ってくる。
そして、念を押すように。
「俺、惣領未知が好き。今目の前に居るお前のことが好きなのっ。わかったか? 鈍感ちゃん」
掴まれたままの手首の痛みなど、すっかり忘れさせるほどの台詞だった。