psi 力ある者 愛の行方
好きって……なによ……。
泉の言った事がうまく理解できないまま、呆然とただ泉を見ていた。
私の呆けた顔に泉は、またもはぁ~……と溜息をつくと、掴んでいた手首を放し、自分の右手をズボンのポッケへ捻じ込んだ。
「やっぱ鈍感だ。ここまで言ってもいまいちな顔してるし。今のスゲー大告白なのに。相手の反応がこれって。なんか落ち込む……」
あ~あ、なんて空を仰ぎ、ガクリと首を地面に向けた。
落ち込ませた当の本人。
私だけど。
はっきり言って、身体固まってます。
凝固です。
対照的に頭の中は、グチャグチャのパニック。
脳は、溶解です。
どんな反応をしていいのか少しも判らない。
だって、泉が私に告白なんて、考えたこともなかった。
「ま、いいや。とにかく俺の気持ちは、そういうことだから」
呆然としている私を一瞥すると、左手に提げていた鞄を右手に持ち替え肩に背負い、泉は私に背を向け歩き出す。
放心状態のままの私は、遠ざかる背中を眺めたまま立ち尽くしていた。
少しして、数歩先を行く泉が、動き出せずにいる私をパッと振り向き、まるで何もなかったかのように促す。
「何してんの? 行くよ」
「……う、うん――――」
私は声を掛けられ、言われるままにあとを追った。