psi 力ある者 愛の行方
「未知。朝一緒に登校して来たやつ誰?」
開口一番、そんな言葉を投げかけてくると、黒谷と変わらない嫉妬の目で私を見ている。
まだ慣れない未知という呼び捨ての名前に動揺しつつも、まずは挨拶をした。
「おはよ、泉」
「……はよ」
泉は私の席に座り、ふくれっつらのまま一応は挨拶をしてくれる。
けれど、相変わらずすんなりと席を退ける気配はない。
「あいつ誰?」
それどころか、責めるような声と瞳だ。
「誰っていうか――――」
弟なんだけど。
ここで姉弟が出来たって言うのは容易いこと。
だけど、その後の状況がね。
きっと、泉の事だ。
あの大声で叫びだすことだろう。
姉弟っ!?
なんてね。
そんなことを教室中に響き渡るような声で叫ばれ騒がれたら、群がるクラスの子達に色々と説明しなきゃいけなくなるだろうし、面倒だなぁ。
泉の騒ぎっぷりを想像して、思わず口ごもる。
私が説明しないままいると、今度は別の話題を投げかけてきた。