psi 力ある者 愛の行方
力と約束
―――― 力と約束 ――――
まだ、祖母が生きていた頃。
祖母と二人だけになると、御伽噺のように私へ話してくれていた事があった。
小さな私を抱きかかえ、揺り籠のようにゆっくり揺れながら、絵本でも読むように話してくれていたこと。
無闇に力を使ってはいけないよ。
その力は、人を幸せにすることもあるかもしれない。
けれど、自分が傷つく事の方が大きいのだからと。
人は人。
未知は、未知。
何を感じても、何が聞こえても。
冷静に穏やかに。
怒りを相手に向けてはいけない。
人を妬み恨んではいけない。
声にならずに聞こえた事には、目をつぶり、耳を塞ぐ。
それが、ずっと昔からの決まりなんだよ。
お祖母ちゃんも、そのずっとずっと前のお祖父ちゃんも。
誰もそれを破ったりしなかったんだよ。
それが、未知。
お前に課せられた約束だからね。
約束は、守るものだよ、わかっているね?
能力の開花と共に、祖母からはその話を何度も聞かされていた。
小さい頃の私には、難しくて意味のわからない言葉もあったけれど、祖母は呪文のように幾度も幾度も約束だよと語って聞かせた。
祖母との約束。
約束は、守るもの。
だから私は、今まで一度だってその約束を破った事はない。
祖母とのその約束を。