psi 力ある者 愛の行方
教室から離れた廊下は、人通りもそれほどなく、静かなものだった。
のんびりと青空の向こうに目を細めていると、時折通る生徒たちが私たちを見て噂する。
「ほら。やっぱり付き合ってるんだよあの二人」
「泉先輩と惣領先輩。付き合ってるって本当だったんだ」
「泉と惣領。こんなところで逢引か?」
根も葉もない噂話に、穏やかな日なんてないのかもと現実に戻る。
いくつか聞こえた噂話が止んだころ、泉が空を見たままつぶやいた。
「あいつ。カッコイイ顔してるよな」
「あいつって?」
再開した話のあいつが誰なのか分らなくて、問い返した。
「未知の姉弟」
「あぁ、陸? そうかな……? うーん、そうかも」
男の泉から見ても、陸はカッコイイ部類に入るんだ。
へぇー、なんて他人事。
「どうして?」
「どっちが上?」
私が訊ねたことには応えず、泉は質問を投げかけてくる。
「一応、私」
「あいつ、弟になるんだ」
「うん」
私が応えたところで、調度予鈴が鳴った。
「あと五分か。休み時間、短いよな」
泉はクルッと廊下側に向き直り、窓を背に立つ。
そうして、なにやら思案顔だ。
いつになく、硬い顔をして考え込んでいる。