psi 力ある者 愛の行方 


「未知が眼鏡してる理由が分った」

私が嬉しさに頬を緩めていると、陸は冷たく光る眼鏡を指差し、その奥の瞳を覗き込んでくる。

「それ。虫除けでしょ?」
「虫除け?」

覗き込まれた視線があまりに近くて、少しドキリとしてしまった。

「面倒臭い奴等が、近づかないようにしてるんだろ?」

面白そうにそう言って、近づいていた顔を離した。

はは……大当たりです。

苦笑いで、私はクイッと眼鏡の縁に指をやる。

「よくわかったね?」
「みんな勝手に教えてくれるし」

タマゴ焼きを口に入れ、陸は何てことないみたいな顔をしている。

「え? 教えてくれるって。みんな、なんて言ってるの?」

行儀悪くも、箸の先を口元に置いたままで訊ねると、陸はもっていた箸を置き胸の前で両手を握りだした。

「あの奇麗な惣領さんと姉弟なんて羨ましいぃ。惣領さんて、とても頭がいいのよぉ。いつも聡明でキリリとしていて、近寄りがたいけど憧れちゃうぅ」

陸は、女の子たちの口調を真似て、ふざけながら教えてくれた。
その物まねが面白すぎて、思わず笑ってしまった。

「なぁにそれ?」

私は、クスクスと声をあげて笑った。


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