psi 力ある者 愛の行方 


それにしても――――

「私がここに居る事。よく分ったね?」

図書室でランチしている事は、誰にも話した事がない。
きっと、あの泉でさえも、私が毎日どこでお弁当を食べているかは知らないはず。
それとも、私の気付かないところで噂になってる?

私が疑問に思っていると、隣では陸が澄ました顔でお弁当箱を片付け始めた。

「うーん。なんとなく、直感」
「直感?」
「未知の匂いがした」

背凭れに寄りかかり、いっぱいになったお腹を満足そうに触りながら笑っている。

「匂いってなによ」

釣られて私も笑ってしまう。

なぜだろう。
陸とは、すぐに笑顔になれるし心も穏やかになっていく。
泉と居る時には感じない、ゆったりとした感覚が心を満たしていくんだ。
似たように人懐っこさはあるのに、泉とは何かが違う。
すぅーっと心に入ってくるような、ずっと以前から一緒にいるような、陸はそんな不思議な雰囲気を持っているんだ。

家族という間柄に、私が安心しているからなのかな?


< 87 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop