psi 力ある者 愛の行方
私の右耳の後ろには、小さな赤い痣がある。
それは、三日月のような形にも見える。
頬杖をつきながら、私はそっとその三日月に触れる。
この痣は、特別な者の印だ。
祖母のわき腹にもあった、同じ印。
私は、力ある者。
触れた人や物の念を読み取り、感情を力にしてぶつけ、相手からぶつけられる念には防御壁を張ることができる。
惣領家は、能力者の血筋を持つ人間が生まれる家系だった。
私もその一人。
そして、祖母も能力者だった。
能力には、種類も個人差もある。
祖母は祖母で特殊な力を持ち。
私には、私の力がある。
そんな、総領家の不思議な血筋は、ほとんど狂い無く一世代おいて現れる。
私の前は、祖母。
祖母の前は、曾曾祖父。
そうやって、一世代おいては生れ落ちた能力者たち。
私たちの存在が意味することは、わからない。
けれど、持って生まれた力で苦しんできたのは事実……。
なぜ、こんな力が存在するのか。
どんなに怨もうと、この力が消えることなどない。
父は、そんな私の力に未だ気付くことはなく今もいる。
いや、気付かれてはならない。
気付かれないように、生きてきたのだから。
力の事は、力を持つものだけ知ることができる。
それが決まりごとになっているんだ。