psi 力ある者 愛の行方 


自室へと行き、制服から部屋着に着替えて椅子に腰掛けた。
ご飯の時間まで、今日の復習でもしようかと教科書を広げたところで、ドアを遠慮がちに叩かれた。

「はーい」
「俺。陸」
「うん」

返事をすると、直ぐにドアを開け中に入ってくる。
陸は、初めて入る私の部屋に少しばかり所在無さげにしたあと、ベッドに腰掛けて私を見た。

「弁当箱。ありがと」

お母さんがいる前では照れくさかったのか、今になってお礼をいってきた。

私には、自然な態度なんだよね。
お母さんにも、優しくしてあげたらいいのに。

「どういたしまして。それより、陸。お母さんに無愛想だよね」

私が訊ねると、少し下を向いてしまう。

「そうかな……」
「お母さん、困った顔してたよ。学校でそうするのは、私もだから何も言わないけど。お母さんには、もう少し優しくしてあげたら?」

少し姉貴ぶった言い方をしてしまったのに、陸は素直に返事をしてくれた。

「……うん。わかった」

その素直さ。
なんて可愛い弟。


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