psi 力ある者 愛の行方
「それより。未知は、体、平気?」
私の顔色を伺うように、学校での事を気遣ってくれる。
「うん、大丈夫。ゴメンね、びっくりしたでしょ? でも、大丈夫。病気とかじゃないから」
「あんなに辛そうだったのに? ちゃんと医者に診てもらった方が良いんじゃないの?」
「うーん、うん。そうだね」
その気はないけど、一応返事をしてみる。
だって、原因はわかりきっている。
病院にいって治るものじゃない。
この力がある限り、私はこういうことに一生悩まされ続けるしかないんだ。
心配顔の陸は、少しばかり納得のいかない表情をしている。
「大丈夫だってば」
いつまでも心配そうな顔をして見せるから、平気だよって笑った。
すると、陸はおもむろにベッドから立ち上がり私の傍に来ると、スッとおでことおでこをくっ付けて来た。
えっ?!
急に近づいた陸の顔。
くっ付いた二人の額に体温が上がり、耳が熱くなっていくのが自分でもわかった。
「熱は、無いみたいだね」
陸は、こんなのはなんでもないことのように普通の顔をして額を離した。
私一人が、陸の行動にドキドキしている。
火照る顔に、バカじゃないの?
陸は、弟じゃん。
心配して熱を確認しただけでしょ?
心の中で言い聞かせるように、私は気持ちを落ち着けていった。
「具合、少しでも悪くなったら言って。病院、着いて行くから」
一日違いの弟は、まるで何歳か年上のような口調で私を気遣ってくれた。