psi 力ある者 愛の行方
そんな中、眠ってしまいそうなほどのまったり感を破るように、勢いよく図書室のドアが開かれた。
「未知っ!」
人の名前を大声で叫び、ダダダッと足音をたてこの静かな空気を乱す輩がやってくる。
一瞬にして、私の睡魔が遠のいた。
「泉っ?!」
疲れと共に緩く感じていた睡魔を見事に退けられ、箸を持ったまま驚いて突然現れた泉を見ていた。
泉は、陸の事をチラリと一瞥すると、まるでその存在を無視するようにして私の隣に腰掛ける。
要するに、私を真ん中に。
右に陸、左に泉の図。
「どうしたの?」
突然現れた泉に、私は当然の質問を投げかける。
陸も、楽しそうに話していたのを止めて、泉の方を見ていた。
どうしてここに居るのがばれたんだろう?
ここのところ、黒谷にばかりかまけていて、泉とはほとんど会っていなかった。
廊下で泉の想いに感情を揺さぶられて以来だ。
陸が転校して来てからは、毎朝恒例の席取りもなくなっていた。
「最近、冷たくね?」
泉は、私の両肩をガシッと掴むと自分の方へと強引に向け、陸には背を向けた状態にした。
「俺さ、気持ち伝えてから毎日返事待ってんのにさ。全然音沙汰ないしっ」
膨れた顔が私を見る。
相変わらず子供のようなその態度と甘えた瞳で、私のことを覗き込んでくる。