完全無欠⁈ お嬢様の執事
「いや〜。
うちのレストランも、経営、上手くいっててさ。
店舗も増やせることになったんだよ」
康介は、ダイニングテーブルに置かれた朝食のサンドウィッチをつまみながら、彩に詳細を説明していた。
「お!
すっげぇ、うまいぞ、このサンドウィッチ!
さっすが、誉だな〜!」
「旦那様に褒めて頂けるなんて、恐れ入ります」
康介の横にいた誉が、優しく笑い、頭を下げる。
40後半の康介だが、喋り方や見た目の若さから、30代にもみられる。
これでも、小さいレストランから始めて、今や有名なレストランのオーナーにまでのし上がった、やり手なのだ。
しかし、あまり物事を深く考えない性格でもあるので、今も大切なことを言い忘れていたのにも関わらず、にこにこ悪びれがない…。
「それと、執事とどういう…」
彩は、げんなりしながら父に話の先を進める。
彩の前にも、美味しそうな朝食が並べられているが、食べる気にならない…。
(それに…朝食作るのは、私の役目なのに…)
彩の顔が陰ったのにも気づかず、康介は説明を続ける。
「いや、ほら、彩の学校は家の収入やらでクラス分けされてるだろ?
彩の友達の…あれ?名前なんだっけ?」
「麦ちゃんよ。康ちゃん」
美優がのんびりと教える。
手には紅茶の入ったカップを持ち、それを飲む仕草は美しい。
「そう!その麦ちゃんと同んなじクラスにしてやりたくてさ!
お父さん、頑張って、や〜っと彩を「執事つきお嬢様」のクラスに入れてやれることになったんだよ!」
パチパチと、美優は嬉しそうに手を叩いて、康介を祝福した。
「つまり、その「執事」が誉ちゃんなのよ、彩ちゃん♪」