かけがえのないもの
繋いだ手を離さない
私達は兄妹、だから愛し合っちゃいけないなんて一番分かってるのに
なんで好きになったんだろう、なんで側にいられないのだろう
兄ちゃんの煙草の香りが私の涙を誘って、少しだけ涙が滲んだ気がした
ガラリと保健室のドアを開けると足を組んで座る、私の兄がこちらを見て笑う
書類が終わったのかペンを回して、近くにある書類の山に書いていた書類を重ねて私に手招きをしてくるからゆっくりと近付いていった
「晋弥兄ちゃん、また女の子泣いてたよ?また遊んだんでしょ」
「誰だかわかんねーよ、一々顔なんか覚えてられっか」
泣く、兄ちゃんはその感情はきっと嫌いなんだろう
他の女の子が泣くと表情を歪める、私が泣くと頭を撫でてくれる
少し特別な関係は兄妹だから
「晋弥兄ちゃん、少しだけ手繋いでて良い?」
「あ?今日はどうした、やけに甘えてくるな」
そう、この甘えは
ただの気紛れでしかない
「うん、たまにはいいかなと思って」
「ほらよ、」
手を出されると私は晋弥兄ちゃんの手に指を絡めた後、強く握り締める
そして晋弥兄ちゃんの膝に座って、少し甘える様に寄り掛かってみた
だけど晋弥兄ちゃんは優しいから頭を撫でてくれるのを分かってる
ごめんね、兄ちゃん
私の勝手な気持ちに
気付きません様に。
続く