幸せいっぱい

お父さん。お母さんがいないよ。

…あぁ、お母さんはな。

「死んだと思いなさい。」




夜中の3時。

勢いよく飛び起きた。

「………。」

窓の外を見ると雨がさっきよりもすごかった。

「んー…?どうした?…変な夢でもみたのか?」

「…超楽しい夢みた。」

…懐かしい夢をみた。

お母さんが知らないおじさんと仲良く荷物を持って家を出て行った日の夢。

お父さん…どんな表情してたっけ…。

「……嘘つけ。泣いてる。」

私はまだ泣いてない。

「泣いてないけど?」

「ん。でも。」

日向は私を急に抱きしめてくる。

「今から泣くはず。」

私の目から急に涙がでてくる。

「…すごい。全然悲しくなんかないのに…日向の言った通りだ…。」

日向は私を抱きしめたまま背中を静かにさすってくれた。

…落ち着くなぁ。

私は知らないうちにまた眠りについていた。

耳元で日向の声が聞こえた気がした。

「いい夢みるんだぞ…おやすみ。望夢(もあ)」



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