チャンスの神はここにいる
最下位になって
番組降板の可能性もあり
一位になって
アシスタントになる可能性もある。
武者震いが止まらない。
目線を咲ちゃんに移すと
咲ちゃんは
鬼のような顔で渡された用紙を見て、髪を振り乱し塚本さんに抗議する。
そりゃそうだ
せっかくつかんだアシスタントの座
私達とは別格だもん。
「もう番組のHPもTwitterもFacebookも、全てグラドル総選挙は発表済み。文句があるなら一番に降板しろ」
細いけど力強い咲ちゃんの手を、めんどくさそうに塚本さんは振り払う。
グラドル総選挙。
ヤバい。
それでなくても人気なんてないのに。
どうしよう。
頭がグルグルなってしまう。
周りは興奮冷めやらず
着替えもせずに大騒ぎ。
何度もブツブツと読み返しながら控室に行こうとすると、遠くで亮平君と純哉君発見。
やだ私ったら。
まずは『おめでとう』じゃん。
実用性のない高いヒールのビジューサンダルで走り、さっきの勝利の瞬間を思い出しながらテンション上げて近くに行こうとしたけれど
「おめでとう」
塚本さんに相手にされなかった咲ちゃんが、可愛い笑顔で二人に駆け寄る。
「ありがとうございます」
亮平君は咲ちゃんにお礼を言うと
「絶対勝つと思ってた。私、ずっとブルプラのファンで大好きで、亮平が大好きで。あぁどうしよう。すっごく嬉しい」
咲ちゃんは
そのまま
亮平君に
番組の水着姿で抱きつき
頬にキスした。