チャンスの神はここにいる
始まりはいつものように
カメラさんがグラドル達の顔を走る様に映し出す。
たった何秒かの勝負。
「オープニングの顔、とっても可愛い」
亮平君の声が私の耳に囁く。
もうさ……七週勝ち抜かなくていいよ
この場でヤリたいです私。
「もう少し目線を上げてアゴを引け」
純哉君に冷静に言われ
ヤリたい気分に蓋をする。
純哉君の指摘は完璧。
私はうなずき
頭の中にインプット。
グラドル総選挙の話が出て
今日の4人のアピールタイム。
カメラさんは下から舐めるようにグラドルを映し、エロさ全開。
そして
皆のアピールタイムは素晴らしい。
純哉君が一時停止をし
「来週のお前のネタを見せろ」って言うので、私は立ち上がり深呼吸をして営業笑顔を浮かべ
「鈴木 恵です。メグって呼ばれてます。サイズは上から90ー60-85……」
身振り手振りを加えると
「本当のサイズは?」
低く鋭く怖い声で王子に聞かれ
「……88-63-83……」正直に答える。
地球の軸にも
多少の誤差があるらしいよ。
「続けろ」
「えっと、得意のモノマネはちびまる子ちゃんです。『あたしゃねぇ……』『ヘーイベイビー』『ともぞう心の俳句』……」
「却下」
俺様大魔王は一言残し、再生ボタンを押していた。
おいっ!突っ込めや!
そうか
純哉君はボケだもんね
ツッコミは亮平君じゃん。
亮平君に顔を向けると
「それは止めた方がいい」
あっさり言われた。
常に私を励まし
味方になり
褒めてくれる彼にも通じない
私のまる子ネタ。
こんな夜中に心が崩れる。