チャンスの神はここにいる
生放送のカメラの前で純哉君が焦ってる。
これもネタだろう
そんな風に周りには見えるかもしれないけど、純哉君の綺麗な顔は引きつり、亮平君の両肩をバシバシ叩く。
亮平君はやっと私から目線を外し
泣きそうな顔で純哉君を見つめる。
もうダメだ。
亮平君のネタが飛んでる。
次のセリフが浮かばないのだろう。
私のせいだ
私が……私が悪い。
こんな大切な場所で
純哉君と亮平君を守れなかった。
「あいつらどしたん?」
クズでも芸人
遠藤は私から手を離し二人の様子がおかしいと気付き、先輩のスコア中西さんは怖い顔で腕を組み見つめる。
絶対絶命
万事休す
せっかくここまで勝ち抜いてきたのに。
身体が強張り
そのまま
砂となって崩れそうな私。
もうダメだ。
そう思っていると
「そんなに俺が好きなのか」って
純哉君は亮平君の両頬をつかみ
カメラの前で
キスをした。