チャンスの神はここにいる
「行かないで、そこで待ってて!」
部屋着のスッピンで私は部屋から飛び出し、ぺったんこサンダルでコンクリートの階段を突っ走る。
息を切らして
彼の元へ一直線。
「あ……」
ラスト何段かで足元がもつれ、そのまま転びそうになった瞬間
広い胸が私を抱き止めた。
「危ない」
亮平君の焦った声が耳元に聞こえ、私は安心して身をゆだねる。
薄暗く古いマンションのエントランス。
誰もいない
静まり返った空気の中
コンクリートの壁を背にして
亮平君は私を強く抱きしめた。
「別れたくない。亮平君の存在がマイナスになるって事はない。私にはプラスになってる。亮平君がいるから頑張れる。ブルプラが頑張ってるから私も頑張れる。でも私は亮平君の邪魔になる」
一気に話す私に亮平君はうなずく。
「好きなの。大好きなの。私は亮平君が大好き」
頬を伝わる涙を
そっと彼の唇がぬぐう。
泣かない女って友達に言われてたのに
彼を好きになってから
涙とたくさん友達になった気がする。
彼の温かい唇が
優しく頬から私の唇に届く。
「俺も大好き。メグちゃんがいるから頑張れる」
大好きな声がそっとささやき
「今夜……泊まっていい?」って言われて「うん」って答える。
もうエッチ禁止はどうでもいい。
二人とも同じ気持ちだろう。