チャンスの神はここにいる


大反省会が終わった次の朝は
純哉君が勝手に入れる
コーヒーの香りで目が覚めるんだけど

今日は膝の重さで目が覚めた。

ん?

私はベッドにもたれ

床にひとり
大きな身体を丸めて寝ていて

もうひとりは
私の膝の上に頭をのせて
甘えるように寝ていた。

なんだ
ベッド空いてたじゃん。

上半身だけ大きく伸びをすると
膝の上で小さく唸り声。

ごめんごめん亮平君
私の膝枕で寝てたのね。
可愛い奴だと
寝ぼけまなこで
亮平君の髪を撫でると

何か
感触が違う。

恐る恐る
顔を下げると……純哉君が私の膝の上で寝ていた。

いつもの怖い顔はどこへやら

眼鏡を外した端整な寝顔は
全てを私に任せ
甘えきった
安心した寝顔。

どっ……どうしよう!

急に目が冴え
背中に変な汗がドッと出る。
彼氏の相方を膝枕してるなんて
亮平君に見つかったら怒るかも。

いや……怒らないかも
ん……怒らなかったら
そっちの方が問題かもっ!

お疲れ気味なのか
俺様ドS大魔王は柔らかな営業用の優しい寝顔。

もしかしたら
そっちが本当の顔なのかな。

純哉君も大変だったよね
亮平君が大事な場面でネタを飛ばし
応急処置の不本意なキスでごまかし
『今度やったら舌入れる』とか言ってたけど

きっとショックだったと思う。

ごめんね。
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