チャンスの神はここにいる
「ナンパとかされた?」
さりげなく亮平君に聞かれて首を横に振る。
「感じ良かったよ。偶然会った」
たどたどしく言う私に亮平君の目は優しい。
「沢井君は純哉君の事褒めてたよ」
思い出したように言ったら亮平君は笑う。
「あいつら俺がネタ飛ばしたのわかったのかな」
「うん。わかってた」
「超恥ずっ」
身体をくねらせ亮平君は大げさに照れると、純哉君の蹴りが入る。
その後
少し話をしてから純哉君は
「今日は早めに解散。明日も頑張れよ」と、私に言い。
「部屋出たら電話して」と、亮平君に言う。
私と亮平君に遠慮したのかな。
先に行こうとする純哉君を呼び止め、私はプレゼントを渡す。
「バイト代が入ったからプレゼント。そんなに高くないけど、七週勝ち抜いて準レギュラーになれますように……って気持ち。ネクタイ売り場でコリアンダーに会ったんだ。だから、言いずらくて黙ってた」
二人はその場で封を開ける。
黄色は純哉君
赤は亮平君にした。
「ありがとう。大切にする」
嬉しそうな亮平君の顔が公園の街灯の下で輝く。
本当に華のある人。
彼はいつもパーッと輝いてる。
「絶対勝つ」
純哉君は私の顔をしっかり見てそう言い
営業で見るような王子スマイル。
あぁ
この微笑みで女の子はキュンするんだね。
「ほら、貴重な二人の時間が過ぎてくぞ」
純哉君は言い残し
素早く私達の前から去ってしまった。
やっぱり
気を使ってくれたんだ。
亮平君と笑ってしまう。