チャンスの神はここにいる

「ナンパとかされた?」
さりげなく亮平君に聞かれて首を横に振る。

「感じ良かったよ。偶然会った」
たどたどしく言う私に亮平君の目は優しい。

「沢井君は純哉君の事褒めてたよ」
思い出したように言ったら亮平君は笑う。

「あいつら俺がネタ飛ばしたのわかったのかな」

「うん。わかってた」

「超恥ずっ」

身体をくねらせ亮平君は大げさに照れると、純哉君の蹴りが入る。

その後
少し話をしてから純哉君は
「今日は早めに解散。明日も頑張れよ」と、私に言い。

「部屋出たら電話して」と、亮平君に言う。

私と亮平君に遠慮したのかな。

先に行こうとする純哉君を呼び止め、私はプレゼントを渡す。

「バイト代が入ったからプレゼント。そんなに高くないけど、七週勝ち抜いて準レギュラーになれますように……って気持ち。ネクタイ売り場でコリアンダーに会ったんだ。だから、言いずらくて黙ってた」

二人はその場で封を開ける。
黄色は純哉君
赤は亮平君にした。

「ありがとう。大切にする」
嬉しそうな亮平君の顔が公園の街灯の下で輝く。

本当に華のある人。
彼はいつもパーッと輝いてる。

「絶対勝つ」

純哉君は私の顔をしっかり見てそう言い
営業で見るような王子スマイル。

あぁ
この微笑みで女の子はキュンするんだね。

「ほら、貴重な二人の時間が過ぎてくぞ」

純哉君は言い残し
素早く私達の前から去ってしまった。

やっぱり
気を使ってくれたんだ。

亮平君と笑ってしまう。


< 170 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop