チャンスの神はここにいる
なんでここで?
共通の敵が見つかると
一致団結するのが女の子。
生放送前のグラドル控室。
ボンキュッボンのおねーちゃん達に囲まれて、薄毛のディレクターは目を泳がせて不安がり、塚本プロデューサーは難しい顔で唸ってる。
もうホントにいい加減
司会のちゃんごらすのセクハラ横暴ぶりには
私達も怒りまくりです。
本番中にケツを触られてたのは私だけじゃなく、それこそ隠れて乳もまれたり、抱きつかれたり口説かれたり
やりたい放題。
番組の視聴率がいいのも
彼らが調子にのってる理由。
てめーらの力じゃないんだよ!
番組を作る人達の力なんだよ!
ひな壇に座ってる私達だって、いつも笑顔で姿勢よく。リアクションも頑張るし、テレビを観てる人達に楽しく思ってもらえるようにしてるんだからね。
「クビにして下さい!」
杏奈ちゃんが中心になり、塚本さんと薄毛に詰め寄る。
「事務所には厳重注意してもらってるんだけど、難しいとこで……」
「あっちが辞めないと、私達が辞めますよ」
おおっ!
杏奈ちゃん強気に出たっ!
さすがグラドル総選挙2位。
いつもなら
『代わりはいっぱいいるから、いつでも辞めていいよ』って言うけど、今はグラドル総選挙も番組の目玉になっていて、ネット投票も回を重ねるごとに多くなっているようだ。
「わかった。でもちょっと待って欲しい。今日の大物ゲストに挨拶いかなきゃ機嫌損ねる」
「安東さんですよね。待たせちゃヤバいですよ。帰るかも」
顔を青くして薄毛が言い。
逃げるように二人は控室から出て行った。
「ちょっと前進かな」
杏奈ちゃんの一言にみんなで拍手。
小さな一歩から全て始まります。