チャンスの神はここにいる
拍手が止まないうちに
控室に長身の2人がやってきた。
「え?拍手でお出迎え?」
「ブループラネットでーす。今日もよろしくお願いしまーす」
亮平君と純哉君が挨拶に顔を出す。
舞台衣装のスーツを着た二人の胸元には
私がプレゼントした赤と黄色のネクタイがキマってる。
似合うね。
「純哉王子頑張ってねー」
杏奈ちゃんが声をかけたら純哉君はニッコリ笑顔で手を上げた。
うわぁー……詐欺師。
どっからみても
穏やかな優しい王子様。
2人が出て行ってから
みんなでまたセクハラ会議など開き、本番前にトイレに行く途中。
スタジオの入口で咲ちゃんの怒った声が聞こえた。
ん?
どしたの?
「どこのゲストか知らないけど無理!私はインタビューできない!絡めない!」
「そこを何とかして下さい」
薄毛が咲ちゃんをなだめるように頭を下げていた。
「女子アナにでもさせて。あんな人をバカにした男は無理っ!」
そして
Vシネマのヤーさんみたいな歩き方で私の横を過ぎ、ついでに私にドスンとわざとぶつかってきた。
おいーー!
そこのネーちゃん!
竹内 力に訴えるぞ!
後姿をブーブー言いながら見てると、薄毛が大きなため息。
目が合うと疲れた顔で
「10月からのドラマの音楽で、安東さんの曲を使うんだ。その番宣で今日出るんだけど、安東さんって売れっ子だけど難しいだろ。塚本さんが頭を下げてやっと出てもらえて、咲ちゃんがインタビューするんだけどさ……打ち合わせしたら咲ちゃんを無視して何もしゃべってくれなくて、サイテー」
悩む薄毛のディレクター。
悩んだら
もっと抜けるよ。りーぶ21。
ノーモア悩み無用。