チャンスの神はここにいる

いったんCMが入り
次は私と安東さんのコーナー

初めての大役で胃がせり上がる。

「気負うなよ。深呼吸しろ」
ひな壇から出てきた私の背中に、スコアさんが声をかける。

私は言われたとーり
大きく深呼吸し
小さなテーブルを挟んで安東さんと向かい合う。

「さっきみたいに普通でいいよ」
強張る私を見て楽しそうな安東さん。

「安東さん」

「何?」

「私、今すごく嬉しいけど、緊張して頭パニックです」
正直に言うと笑われた。

「わかった、俺がリードするわ」

意外な答に
場の周りが驚いていた。

あの気難しい大物アーティストが
名前も売れてない
ひな壇グラドルをリードする?

目線の端で咲ちゃんの怖い顔を捕えてしまった。
無視しよう
それどころではない。

「捨て猫を見ると、黙ってられないタイプなんだ俺」
ボソッと言われた。

猫と一緒にされてしまった。

いや
もうなんでもいい。

お願いします。
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