チャンスの神はここにいる
「新人お笑い勝ち抜き戦」
咲ちゃんと女子アナの声がスタジオに響く。
あぁドキドキする。
「もう六週勝ち抜きです。今日勝ったら準レギュラーが目の前。ブループラネットの登場」
女子アナの声にめまいしそう。
亮平君と純哉君は中央からさっそうと出てくる。
ネクタイ似合ってる。
今日も上手くいきますように。
「はいっブループラネットです」
「今日もよろしくお願いしまーす。いやー秋ですねー」
「秋ですよー」
「秋になると欲望がムラムラしますねー」
「なんで欲望。お前大丈夫?放送禁止用語出すなよ」
「大丈夫。カットしてねー」
「いや生放送」
大丈夫。大丈夫。
今日もいい感じのスタートだよ。
誰にでもなく
自分に言い聞かせる私。
「本能のまま、宵闇に欲望が紛れますねー」
「マジわかんないんだけど。欲望って何?」
「言っていいの?」
「ダメ!それってマズい。仕事無くなったら困る」
「言っちゃうー」
「純哉ー!今日六週目だから気を付けろ」
「サンマ食べたいー」
「……お前……滑ったな」
ブルブラは空気を自分の物にしている。
その場を自分たちの色に染める。
いつの間にか観ている私達は
まだ荒削りだけど
ついブルプラの世界に入り込み
楽しく笑っている。
大丈夫
今日も大丈夫。