チャンスの神はここにいる
「どっちでもいいかー。じゃぁ来週。ネタ飛ばすなよ亮平君」
グーで亮平君のネクタイをパンチして
沢井君は私にもう一度手を振って行ってしまった。
なんつーか
今勢いのある売れっ子って
オーラがあって
圧倒されてしまう。
ひな壇の後ろにある大判バスタオルを肩から羽織り、ゆっくり亮平君と純哉君の前に出る。
セットを片付ける大道具さんの邪魔になるから、純哉君は亮平君と私に合図してスタジオの隅っこに移動。
「……まいった」
クールな純哉君の苦笑いが
全てを物語る。
「ネタを練り直そう」
亮平君は上を向いて大きく息を吐く。
ショックだよね
ラストでいきなりコリアンダーだもん。
スライム斬って
森を進んでいたら
いきなりラスボス出てきた感じ。
「対策練ろう」
「完璧に仕上げよう」
真剣な二人の会話は続くので
そっと私は2人から離れる。
離れても熱く2人は語ってるし
今日は色々あり過ぎた。
控室に戻ろうとすると
大きな人影が目の前に急に現れ
小山のようなその身体にぶつかりそうになってたら
「ブルプラと付き合ってんのか?」
ちゃんごらす遠藤が目の前に立ち
私を責めるようにそう言った。