チャンスの神はここにいる
目が血走ってる。
ヤバい感じ。
身の危険を感じた。
頭の中でピーポーピーポーと警察24時
柳沢慎吾が走り出す。
「あの……」
言葉に詰まる私に迫りながら
チンピラ顔は止まらない。
「売れてないブサイクが、バカにしてくれるなー」
グサッとくるわー。
反論できない自分が悔しい。
呪ってやるー!
「違います私」
プルプルと子犬のように小さくなってると、ちゃんごらすのマネージャーが「遠藤さん」って後ろから呼び、遠藤はあきらめて舌打ちしてから意識をマネージャーに移す。
ホッとしてると
「覚悟しろよ」
置き土産にその低い声は、背中に冷水かけられた気分。
怖すぎ。
来週気をつけよう。
本気でヤバいわ。
とりま
目を付けられたと
社長に連絡入れておこう。
何かあったら大変だ。
私は逃げるように控室に入り
慌てて着替え
また忍者のように走ってタクシーに乗り込んだ。
次の就職先は
忍者屋敷でもイケるかも。
走り出すタクシーの後部座席でやっと一息つき、スキンヘッド遠藤の怖い顔を思い浮かべて身体を震わせる。