チャンスの神はここにいる
「メグちゃん……メグちゃん!」
タオルケットの上からポンポンと肩を叩き、亮平君は私の名を呼ぶ
「う……ん」
返事にならない返事をしながら、接着剤でくっついたような目を開く
「俺達もう行くね。寝るなら鍵かけて」
「うん」
ネタはできたのかな
存在を無視されて
ふて寝気分で横になるだけのつもりが
しっかり寝てしまった私。
2人とも疲れているのに
妙にサッパリとしたした顔をしている。
「いいネタできた?」
ムクリと身体をベッドから起こして聞くと
「自信ある」
「今まで一番のネタ」
素晴らしい返事と自信に満ちた声。
「来週勝って、準レギュラーだね」
晴れやかな2人の顔が嬉しい。
逆境に負けず
さらなるパワーアップ。
「俺達の心配より自分の心配しろ。来週はランク上がるぞ。気の利いたコメント用意しろ、似てないモノマネしたら説教だからな」
純哉君はそう言い残し
亮平君より先に部屋を出る。
「超似てるモノマネしてやるっ!」
かすれた寝起きの声で、めいっぱい叫ぶと純哉君の横顔が笑ってた。
純哉君はいつもそう
ケンカふっかけたり
ダメ出ししたり
そんな方法で
私のヤル気を目覚めさせる。
もう
私の事より
自分たちの事を考えてよ。
頬をふくらませ
純哉君が去ったドアをにらんでいると
「メグちゃんの彼氏はこっち」
顔をつかまれ
クイッと自分の顔に向ける亮平君。