チャンスの神はここにいる
「メグちゃんはさ」
耳元で聴こえ亮平君の声に元気はない。
勝ちたかったよね
私も一緒だよ。
勝たせたかった。
これだけ
一生懸命やってきたんだもの
今日だって
すごく面白かったのに
悔しい
とっても悔しい。
亮平君と純哉君は
私の何十倍も悔しいだろうに
「なに?」
泣きそうな声で返事をすると
「純哉と俺と……どっちが好き?」
全く
想定外の質問が亮平君の口から流れた。
「へっ?」
マヌケな声が出てしまう。
「俺と純哉とどっちが好き?」
手の力を弱め
亮平君は私の両肩をつかみ
額が重なるくらいの距離で顔を接近。
澄んだ目が綺麗だけど
悲しさが見える。
ふんわりした彼の髪が
私の前髪に重なる。
「どうしたの?」
質問の意味がわからず
目を丸くする私。
「純哉と話す時は、メグちゃん楽しそうで遠慮ないよね」
どうしたんだろ
何?
どうしてこんな会話になるんだろ
「純哉は……」
「亮平君、ちょっと話が見えない……」
「純哉はメグちゃんが好きだよ」
はっきりと
私の目を見て
亮平君はそう言った。