チャンスの神はここにいる
「だからメグちゃんも頑張ろう」

全てを見透かされたように言われ
つい
ボロボロと涙が出てしまった。

「ごめん。泣かせた?」
亮平君は驚いてオロオロして、自分のポケットからハンカチを探そうとしてるけど、出てこないようで「ヤバいヤバい」と焦っている。

その様子がおかしくて
泣きながら笑ってしまう私。

「泣いてるの?笑ってるの?」

そう責められて
また笑い泣きする私。

「ごめん」

謝ってたらまた彼のスマホが鳴る。
亮平君は「純哉だ」って苦笑いでスマホを切り、また私の頭を軽くポンポンと叩く。

「今日はありがとう。ごちそうさま……ってアドレス!」

忘れてた。
涙を拭きながらアドレス交換し

私は小走りで亮平君の視線を感じながら、マンションの玄関に入る。


『だからメグちゃんも頑張ろう』

彼の柔らかな声が耳に残る。


うん。

頑張ろう。

久し振りに泣いた涙はデトックス。

嫉妬・焦り・哀しみ
そんな毒を出した気分。

明日からまた頑張ろう。

新たな気持ちでって思っていたら。



とんでもない出来事が

私を待っていた。


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