チャンスの神はここにいる


私はバカだ。


「ごめんなさい」

気弱な自分の声が恨めしい。

「私は亮平君が好き。別れたけど好き」

肩が触れるほど
こんな近くに
私を想ってくれる人がいるのに

私は亮平君が忘れられない。

「バカだよね私」

涙がポロポロ溢れてくる

「化粧ハゲるぞ」

「知ってる」

「ホント……バカなヤツ」

純哉君は笑って私の頭をぽんぽん叩く。

頭ぽんぽんは
亮平君がよくしてくれた

思い出してまた涙。

「バカな女を好きな俺は、もっとバカ」

「ごめんなさい」

謝ってまた涙。

「亮平はお前の事がまだ好きだから」

「……うそ。私……ひどい事言った……もん」

「まだ好きだから安心しろ」

「純哉君」
じわじわ涙目で純哉君を見ると

「振った男にそんな顔すな。可愛くて決心が崩れるだろ」

「決心って何よ」

「お前を忘れる決意」

純哉君は寂しそうに笑う。
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