チャンスの神はここにいる

スタジオ内がぐっちゃぐちゃ。

壮絶な女子同士の争いをスタッフが止めていた。

目の前の光景に固まってしまったけど

そんな場合じゃないぞ私。

謝ってこなきゃ。

「謝ったらすぐ出ておいで」
心配する安東さんに引きつった笑顔を見せて、私はちゃんごらすの楽屋のドアをノックする。

うん。
早く謝って帰ろう。

理由は何であれ
ケガをさせたのは私。
それも番組司会者で
この世界の中堅どころ。

頭を下げておかないと
私みたいな新人はつぶされる。

ううん
私だけじゃなくて
うちの小さな事務所もつぶされたら困る。
誠心誠意に謝れば
きっとわかってもらえる。

「失礼します」
中に入って一礼すると

スキンヘッド遠藤とデブキャラ鈴木はパイプ椅子に座り、ニヤニヤしながら私を待っていた。

「本当に申し訳ありませんでした」
精一杯頭を下げると
デブキャラ鈴木は立ち上がり、私の後ろを通ってガチャリと、ドアをロックした。

え?どうして?

変な雰囲気に恐る恐る顔を上げると

「脱げよ」

嬉しそうに

遠藤はそう言った。




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