チャンスの神はここにいる
ギュッと目を閉じると
ドアを連打する音がした。
「メグちゃん!」
亮平君の声がする。
「メグちゃん開けて!ここ開けて!」
叫び声のような切羽詰まった大きな声を出し、亮平君はドアノブを壊す勢いでガシャガシャ回していた。
ちゃんごらすの2人は
合わせたように舌打ちをする。
何度も私の名前を呼ぶ亮平君。
大好きな人がそこに居る。
「あのガキ。本気でつぶしたる」
丁度いい所で邪魔をされたスキンヘッド遠藤の目は怒りで燃えていたけれど、亮平君はドアの外側から体当たりして、何度目かでドアを開けて
私の目の前に
舞台衣装のスーツのまま
亮平君は現れた。
「メグ……ちゃん」
ほぼ全裸で押し倒されている私に驚きながら、亮平君は息を乱したまま遠藤の身体から私を奪い、自分のジャケットを脱いで私に着せて強く胸に入れる。
私は小さくなって彼の胸に顔をうずめて、懐かしい大好きな人の香りに身をゆだねる。
亮平君は「もう大丈夫だよ」って言い、私を強く一度抱きしめてから、そっと私を自分の背中に回してから、ちゃんごらすに頭を下げる。
「俺はどうなってもいいです。ボコボコにして半殺しにしてもいいです。何されてもいいから、彼女だけは助けて下さい。彼女にだけは手を出さないで下さい。俺の大切な人なんです。世界で一番大事な人だから、彼女だけは許して下さい」
亮平君はそう叫んだ。