チャンスの神はここにいる

「言われんでもボコボコにしてやるわ!」

亮平君に負けないくらい大きな声を出し
デブキャラ鈴木が目の前に迫る。

「逃げてメグちゃん」
バスケットの選手のように両手を広げ
背中の私をガードしながら亮平君は私に告げる。

「置いていけない」

「走って逃げて。人の多い場所へ行くんだ」

「もう離れたくないもん」

もう
離れたくない
ずっと一緒にいたい。

「メグちゃん……」

私の言葉に亮平君は動きを止め
力を抜いて振り返った瞬間

鋭いアッパーが風を斬り
亮平君の顔が天井を向き
アゴが床と水平になる。

「亮平君!」

鈴木に殴られ
彼の揺れる身体を支えると
口を切ったのか血が出ていた。

「だいじょーぶ」

笑顔を作り私に言うけど

どうみても
大丈夫とは言えないでしょ。

「メグちゃんは早く逃げて」
私に預けていた身体をまた戻し
ふらつきながらもしっかり立って、唇の血をぬぐいながらソファに座る遠藤を見ていた。

「嫌だ」

私も逃げたくない。
亮平君から離れたくない。
意地でも動くものかって気持ちになってたら

「まだ足らんのか?」

鈴木のドスの効いた声がまた聞こえて、亮平君は反射的に私を抱きしめて鈴木から守る。

次の瞬間
きっと最大級のケリが入ると思って覚悟していたけど


亮平君の身体はビクともせず

ちゃんごらすの攻撃は無かった。


あれ?






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