チャンスの神はここにいる
怖々と亮平君の胸から顔を上げ
そっと周りを見渡すと
部屋に
もうひとり
ジャージ姿の男性が現れて
ちゃんごらすの2人は
その男性を見て「ヒッ!」と、息を吸いこんだような悲鳴を上げて顔面蒼白。
誰?このおじさん。
上下ジャージで
さっきまで寝てました。って顔してる
まぁ
普通の感覚でいくと
もう寝てる時間かもしれないけど
ジャージだけど
威圧感バリバリ。
坊主頭の長身で怖い顔してる。
どっかの組の人?
「このボケ!なにさらしとんねん!」
ちゃんごらすは素早く男性の前に正座して驚きまくり
「ぶっ……部長。なんでここへ?」
「部長。誤解でっせ、こいつらが……」
その必死な態度も
「黙れボケ!」の一言で終わってしまう。
部長?
この人が?
あの大手お笑い芸能事務所の?
部長さん?
遠藤のお腹に蹴りを入れながら
「すまんなネーちゃん。ちょっと場所貸してーな」
笑顔で言うので
私と亮平君は逃げるように部屋を出て扉を閉める。
部屋の中から怒鳴り声が聞こえる。
どうなってるのと、亮平君と顔を見合わせてると
「間に合った?」
レザージャケットの安東さんが私に向かって走ってきた。
「大丈夫だった?」
近くまで来た安東さんにうなずくと「よかったー」って胸を押さえてホッとされた。
「詳しい話はあとでね。俺も一緒にボコボコにしてやるわ」
と、そのまま中に入ろうとするので
「安東さん!」
安東さんの腕を引っ張ると
「あー……内緒にしておいてね。彼らの事務所の社長が俺の親父。でもうちの母親は後妻さん。俺は連れ子。だから顔も似てないしあまり知られていない」
クールに言われた。