チャンスの神はここにいる
「亮平!どこ行ってた!」
「その顔どーした!」
まっすぐ舞台の裏に回ると
同じ事務所の先輩達が心配顔で声をかける。
「メグちゃん大丈夫だったか?」
スコアさんも駆け寄り、内出血で色の変わった亮平君の顔を見て「うわっ」て苦い顔をした。
「亮平君に助けてもらいました。スコアさんは大丈夫でした?」
「女の子達が暴走する前にこっちがあるから走って逃げてきた。殴られたのか?亮平」
スコアさんは亮平君に聞くけど
亮平君は返事もせず舞台袖からステージを覗いて、かなり驚く。
「コリアンダーだ……」
彼の声に私も驚き、スコアさんを押しのけてステージを横から見ると
コリアンダーの山口君と沢井君がネタをやっていて、場内爆笑。
「うちの事務所の誰よりもウケてるわ」
後ろからスコアさんの嬉しいような困ったような声。
「沢井君と純哉の舞台はどうでした?」
亮平君が真剣な声でスコアさんに詰め寄ると
「あぁ?あの沢井ってガキ何者よ?練習無しであんなに完璧にやるの見た事ないわ。モンスターそのもの。お前とやるよりウケてた」
「見たかったー」
こんな状態でも本気で悔しがる亮平君。
「舞台は順調に進んでる。これからネタが3つ入ってから、事務所全員で予定通り大喜利やるけどお前出れる?」
「大丈夫です」
「そしてまたお前たちのネタ入るからな」
「はい」
舞台袖で打ち合わせしていると
「遅いぞ」
後ろから
純哉君の声が聞こえた。