チャンスの神はここにいる


次の日はお弁当屋さんでバイト

ほとんど
ボーっとしていて
何度かお釣りを間違えてしまった。

注文も間違えたので
責任とって
自腹でお買い上げ。

から揚げ弁当大盛りがふたつ

食べたら太るしーー!

9時前になると
自動扉の向こうから亮平君がご来店。

「よかったメグちゃん居た。こないだのネタを練り直したんだ、よかったら……どうしたの?」

爽やか笑顔が
私の顔を見て曇ってゆく。

「どうしたの?体調悪い?」

真面目な顔で心配されると
泣けてきそう。
人の優しさが身に沁みる。

「ちょっと困った事があって……でも、あの大丈夫だよ」
強気で言ったけど
余計に亮平君は心配し、私に急接近して大きな手で私の額を触る。

「風邪ひいた?体調悪い?借金問題?誰かの愛人になれとか言われた?」

柔らかそうな茶色いくせっ毛と澄んだ目が、親友の所で飼っている犬とかぶる。
マルカポーネと犬の名を呼んでしまいそうだ。

額に当てられた手が大きくて温かくて
心がほっこりしてしまう。

「大丈夫。話を聞いてもらえたら嬉しい。あ……公園でネタだよね。うん、終わったら行くね」

笑顔を見せてオーダーミスのから揚げ弁当大盛りを二つ渡し、また仕事終わりに公園へ行く約束をする。

「何でも聞くよ。待ってる」

最後まで心配そうな顔をして

彼は行ってしまった。







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