チャンスの神はここにいる



「先に俺達のネタを見て、感想を言ってからにしろ」

そうでした
公園で待っているのは
優しい亮平君だけじゃありませんでした。

鬼のような冷酷な男が、眼鏡を光らせ公園に佇む。

なんでこいつは
そんなにエラそうなんだろう。
誰も逆らえないオーラを出しているし。

私のそのオーラが欲しい。


まずは
2人のネタを見ると

あらら
なんか
こないだよりいいじゃん。

テンポがよくなっていて
リズムがとれてる
こないだのネタと同じだけど、違うネタを見ているみたい。

仕事の悩みを空っぽにして
私は2人の笑いの世界に入り込む。

だからお笑いって好き。
頭を空っぽにして楽しめる。

感想を素直に言うと
亮平君はとっても喜び
純哉君は唇を軽く上げて不敵に笑う。

怖い。
この人やっぱり怖い。
暗がりの公園で見る綺麗な顔は怖い。

「それでメグちゃんはどうしたの?」

ふたりは私の両側に座り
亮平君は真剣に私を見て
純哉君はさりげなく、さっき自販で買った飲み物を取り出して私達にくれた。

「女の子に冷たい純哉が珍しいー」
亮平君がからかうと

「嫌なら返せ」と冷たく答える。

タイプが違うふたりを見比べる私。

ふたりとも
長身で細身のイケメンさん。

亮平君は優しくて癒し系の顔立ち
誰とでも仲良くなれて人気者タイプ。

純哉君は綺麗な顔をしてるけど
賢く冷たそうなタイプ。

「こいつ女の子にすごくモテるけど、冷たいんだ。でもメグちゃんの事は気に入ったみたい」
楽しそうに亮平君に言われたけど

どうみても
気に入られたとは思えませんが。

「いただきます」
ありがたく冷たい飲み物を喉に流し

私は2人に
先日もらった番組リニューアルの説明の書かれた書類を、見てもらおうと差し出した。
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