チャンスの神はここにいる



亮平君に会ったのは

夕方の5時。

舞台の打ち上げがお昼まであり
その後
家に戻ってシャワーを浴び
着替えてすぐ来ようと思ったら

マスコミに尾行され
建物の前でどうしていいかわからなくなってると

引っ越し業者のトラックが来て
私の上の部屋に荷物を入れるらしく
トラックに余ってた業者さんのツナギを借りて、私の部屋までやって来たという。

マンガのようなお話である。

「愛があれば怖くない」
堂々と言う亮平君。
ある意味大物。

ストンとふたりシングルベッドに座り、私は亮平君の殴られたアゴを触る。

「痛い?」

「少し」

そのまま
彼の大きな手が私の背に回り
抱き合ってベッドに横たわる。

彼の広い胸の中
彼の香りを味わって目を閉じる。

「恋人宣言して怒られなかった?」
小さく聞くと

「怒られた」って笑う。

彼の顔をそっと見上げる。

優しい顔が私を見下ろす。

「どうして、そんなこと言ったの?」

「言いたかったから」

軽く唇を私の唇に重ねる

「みんなに言いたかった。俺の彼女です。世界で一番可愛くて大切な彼女ですって」

甘く深いキスになり

「大好きだよ」

とける

とろける。
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