チャンスの神はここにいる
ベッドの中
裸のまま
彼に背中から包まれ
腕枕などされて
ぺったりくっつきながら
ふたりでテレビ鑑賞。
「あーしあわせー」
私の髪を香りを嗅ぎながら、ギュッと後ろから抱きしめる亮平君。
私も幸せだよ。
幸せ気分で見るテレビは昨日の生放送。
亮平君は舞台袖に立っていて
純哉君とスマホで見ていてくれたらしい。
私は亮平君と一緒に見るつもりで、自分では見てない。
ラストで遠藤に抱きつかれたのを思い出すと、その生温かい感触まで思い出しそうで怖かった。
ひとりで見るのが怖かった。
テレビ画面に遠藤が映るだけで、知らないうちに身体が強張ってしまう。
「大丈夫だよ」
亮平君は優しく私に言い
抱きしめる手に力を入れて甘くささやく。
昨日の放送は
グラドル総選挙がメインだから
最初に新人お笑い勝ち抜き戦から始まった。
コリアンダーの漫才。
上手い。
このまま七週勝ち抜いて
準レギュラー確定だろう。
「昨日のライブ。事務所の人がハンディカムで撮っててさ」
「うん」
「純哉と沢井君の漫才撮ったの見せてもらったんだ」
「えーっいいな。私も見たかった」
「今度DVDにしてもらうから待ってて。見たけどすごかった」
「どんな感じ?」
「沢井君ネタを全て覚えててもう完璧。俺よりウケてた」
「純哉君はどうだったんだろ」
「純哉は……『もう二度とやりたくない』って言ってた」
「どうしてだろ?」
「自分より人気出そうで嫌なんだって」
亮平君は楽しそうに言い
私の髪にキスをした。