チャンスの神はここにいる
順位が見える大きなパネルの前に、上位5人が並んでる。
私は背中に亮平君のぬくもりを感じながら
他人事のようにジッと見ていた。
「さっきより自然な顔してる」
「すぐ名前が呼ばれると思って」
そう
まさか最後まで残ると思ってなかったもの。
三位で杏奈ちゃんの名前が呼ばれた時、テレビの中の私の目が大きくなって焦ってた。
「純哉がここで『もっと堂々としろ!』って怒ってた」
「だって杏奈ちゃんが一位だと思ってたんだもん」
それから
咲ちゃんとツーショットになり
グラドル総選挙第一位で私の名前が呼ばれ、安東さんがバラの花を抱えてやってきた。
想像通りの
マヌケ顔してるし。
かなり恥ずかしい。もうテレビ消したい。封印したい顔。
時間が押してるのか
テレビの下にスタッフロールが流れてエンディングの音楽がなり、ラストに咲ちゃんがカメラ目線で私が遠藤のファンだからハグしてキスしろって言う。
遠藤は『よっしゃ』と喜んで私に抱きつく。
ゾッとして
腕枕してくれてる亮平君の手にしがみつく私。
亮平君は「もう終わるから」って言い、ある場面で一時停止のボタンを押した。
ある場面
番組終わり5秒前
遠藤にハグされキスを迫られてる私の斜め後ろ
咲ちゃんが笑ってた。
その底意地の悪さは
画面からはっきり見えている。
「この顔が問題かぁ」
私は咲ちゃんの顔をマジマジと見つめた。