チャンスの神はここにいる
「純哉君ドラマだね」
「うん。月9だよ事務所で大騒ぎ。人気出るよー」
「亮平君も話あるんでしょ」
「あったけど、同じ時間帯でBSでコント番組作るから、そっちに入れてもらった」
純哉君はドラマで亮平君はコントか
逆のイメージあったけど
違うんだね。
「純哉君がそっち路線に行ったら寂しくない?」
「純哉が?いやーないわー」
平然と亮平君は言う。
「あいつは根っからのお笑い人。ドラマも事務所の命令だし、その見返りに単独ライブを増やす話もつけてるから」
「忙しいけどライブ増える?」
「増える増える。ライブ命のブルプラだから」
売れても基本は変わってない。
「あ……ちょっとゴメンね」
亮平君はマックの制服からスマホを取り出し、チェック。
「女の子?」
いくら公認とはいえ
亮平君はモテるから心配。
そっと聞くと
「いや沢井君」
「沢井君?」
コリアンダーの?
「明日の朝、一緒に釣り行く約束してる」
釣り?
沢井君と釣り?
「沢井君ハマってるんだって、『道具とか持ってない』って言ったけど『全部あるから手ぶらでいいよ』って言ってくれた。純哉も誘ったけど『絶対行かない』って言われた。楽しそうだけど」
彼はライバルの沢井君と一緒に行くのが嫌なだけとか。
妙にライバル心燃やしてるからなー。
亮平君は人類皆仲良しタイプだもんね。
「朝、こっそり出て行くからゴメンね。一緒に行く?」
「ううん」
私達は今年の夏から一緒に住んでいた。