チャンスの神はここにいる

「時間ないから行くね」

「うん」
マックの店員さんはそそくさと腰を上げる。

「あとさ、さっきのサプライズプロポーズ企画だけど」

「やらないよ」
ブルプラのネタにされたくないもん。

「俺もそう思っててさ、純哉にハメられたらどうなるかわからない」

「うん」
強く心を持とうぜ。

「だからアイツの企画より素早く、メグちゃんもビックリするぐらいの企画を考えた」

え?やっぱり企画?
どんな企画だと思っていたら、彼はポケットから何やら取り出し、そそくさとテーブルから出て私の前に膝を落す。

はいっ?

「結婚して下さい」

はあぁ?

ええええっ?

マックの制服のまま
亮平君は真剣な顔で私を見上げる。

ええ?
ええええっ?
えーっ?

頭がパニック。

どこかにカメラない?

周りの人達も驚いて私達に注目。

まさか
こんな場所で
そんなコスプレで
そんな……心の準備もないままに

「鈴木 恵さん結婚して下さい」
亮平君は周りを気にせず
ベルベッドの青い箱をパカリと開き、キラキラ輝く指輪を私に捧げて頭を下げた。

指輪……。
一緒に暮らしているけど
指輪だけはプレゼントしてくれなかった。

ずっと彼からの指輪が欲しかったけど
彼はファッションリングも買うのを断固拒否していて、寂しかった私。
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