チャンスの神はここにいる
また3人で公園に逆戻り
今度はブランコに私が乗って
その隣のブランコに亮平君が乗り
仁王立ちで
怖い人が私の目の前に立つ。
せめて
後ろに立って欲しい。
リストラの不安とか
ヤル気のないプロデューサーの話とか
生放送でポロリしたらボーナスとか
話せば話すほど不安になり
声も身体も
小さくなってしまう。
「スコア中西さんは大丈夫だよ。優しくて真面目で俺達と同じ事務所。よく飯をおごってもらってる」
亮平君の穏やかな声に
サンダルばかり見つめていた目線をやっと上げる私。
「キレキャラだけど、あれはキャラだから。どっちかっつーと司会者の方が危ないから、近寄らない方がいい」
真面目に言う亮平君に対し
「近寄ってポロッと出して、顔を売れよ」
俺様眼鏡はそう言った。
アドバイスが対照的すぎる。
キッと睨んで純哉君を見ると
「いやこれマジ。いじってもらう方がおいしいだろう」
彼なりのアドバイスか?
私が黙ってしまうと
「売れたいならそのくらいしろ。俺達から見ればうらやましいって。お前はどんなキャラでやりたいの?ただの巨乳のお姉ちゃんならそこらにいるだろ。ニコニコ笑うだけか?個性がないとリストラだぜ」
悔しいけど
否定できない。
私には個性も華もない。
「リストラされたくなかったら、司会者に触らせろ。減るもんじゃなし」
「減るもん!」
「司会者が嫌ならプロデューサーに触らせろ」
「それが嫌だから悩んでるんでしょう」
宇宙人かおのれは。
言ってることが通じてない。
私達の言い争いを聞きながら「まぁまぁ」って、亮平君が中に入る。