チャンスの神はここにいる
「はいオッケー終了です」
ディレクターが疲れ切った声を上げて
そのまま収録終了。
バラエティのひな壇から降り
言葉通りのお疲れさんな俺。
テレビが苦手
そう言うと
絶対突っ込まれるから絶対言わない。
『顔を売るにはテレビだ。何があろうと出ろ!』
相方の彼女に散々言ってるから
こんな弱音を吐くとツッコまれて倍返しにされる。
いや
アイツに倍返しされたら
100倍返しで返してやる。
言葉は俺の方が勝つ。
きっとムカつく顔で悔しがるだろう……ってさ
まだ傷は癒されないのか俺?
本気で好きになった女は
相方の彼女。
この俺がフラれるという。
女にフラれた事のない俺が
フラれるという話。
やめよう
脳内が落ち込んでしまう。
俺らしくない。
「あーメグちゃん?俺だけど……えっ?詐欺?そうそう君のハートをいただくよ!って……古っ。100万年前のネタだよね。ないわぁこのボケはー」
収録が終わるや否や
ポケットのスマホの電源を入れて
身体をグニャグニャとタコのようにくねらせながら幸せそうに会話をするのは、俺の相方。