チャンスの神はここにいる

「純哉」
背中から亮平が追いかけてきた。

ホントにわんころだよなお前って。
黒くて丸い目がカワイイわ。

「反省会やろう」
真剣に言われた。

「今日はしない」

「なんで?」

「気分」

「やろうよ反省会。純哉らしくないって」

「たまに早く帰りたいだろーが。彼女待ってんぞ」

「メグちゃんが言ってくれた『反省会してこい』って」

その言葉に俺は足を止める。

「今、LINE入れといた『反省会やるから先に寝てて』ってそしたらね『舞ってる』だって」
ウキウキ顔で亮平は自分のスマホを俺に覗かせた。

たしかに
待ってるじゃなくて
舞ってるって書いてる。

変換ミス。

「『フラメンコ希望』って書いたら『フラミンゴで舞ってる』って返事きてるだろ。さすが俺の彼女」

「お前より上手い」

「それ言う?さて反省会だ」

亮平は俺の腕を強くつかみ
強制的に引っ張り始めた。

「次のコントで使えない?『フラミンゴで舞ってる』って」
亮平が歩きながら俺に言う

「動きはどうする?『フラダンスで舞ってる』とくっつけるか?」

「『フラフラで舞ってる』は?」

「弱いわ、共通点がフラだけだと……」

ネタの事ばかり考えてる俺達。

その時間が一番幸せかもしれない。
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